ボサノバのリズムについて

歌詞の正確さよりもリズムが大事!

ボサノバボーカルのレッスンをしていて何よりも大切だと思うもの、それは、ブラジル音楽独特の『グルーヴ感』です。 このことはラテン音楽全般にも当てはまると思います。

 

たとえ歌詞やメロディーを正確に歌うことができたとしても、このグルーヴが歌や演奏から感じられないと『外国人が交流会でサービス精神で演歌を歌ってくれたケースの逆パターン』、ちょっと良くて『和風なボサノバ』、もしくは『ただの均等なエイトビート(=歌謡曲とか)』に聴こえてしまうのです。

 

このブラジル音楽独特のグルーヴ感、ブラジルは広大な国土を持っているのでリズムも様々ですが、それらをざっくり包括すると『ずっと踊っていられる(休ませてくれない)推進力、勢いのあるリズム』といったところでしょうか?3日間踊り続けるリオのカーニバルを思い出してください。とにかく日本人の慣れ親しんだリズムとは異質のものなのです。

 

日本人がボサノバ等、ラテンのリズムの音楽をやろうとすると、どうしても1拍目と3拍目に落ち着こうとしてしまいます。まるでそのタイミングを狙って漬物石(!)を落下させるように落ち着きたがるのは、やはり盆踊りの文化だからでしょうか?その瞬間、音楽は推進力を失い、止まるのです。 そして一旦止まった所からまた動き始めること程、非効率的なことはありません。高速レーンを疾走している車が、100メートル毎に急ブレーキを踏みつづけたらどうなるでしょう?

 

その辺の詳しいお話はレッスンでさせていただいていますが、少しでもそのグルーヴ感(勢い)を感じてもらうために、レッスンではまずサンバの16ビートの細かいリズムでボサノバを歌うトレーニングをしています。 『ぼくが歌っているのはボサノバじゃないよ、サンバだよ』と、ボサノバを創ったジョアン・ジルベルトも言っていますしね。

 

鈴木智香子 拝