【ジャズボーカリスト名鑑 番外編】 唐突ですが、バーブラ・ストライサンド!

バーブラ・ストライサンド…この、別格な存在(苦笑)

上記のPVに対しては特に何も言うことはないのですが、バーブラは欧米の老若男女に、既に『神聖バーブラ帝国』として祭り上げられている、といっても過言ではないと思います。その声を聴けば誰もが認めるであろう強烈な個性、強いメンタル、50年以上の輝かしいキャリア、そしてユダヤ系アメリカ人として時に政治にも影響力をもつパワフルな人物。

 

(そして、これを書いている時点(2016年9月)でも、最新アルバムが全英、全米で初登場第1位に!)

 

しかし、尊敬を集めながらも、このPVのように若い世代にイジられてしまうところは、うーん、日本だったら『黒柳徹子』の存在に例えると適切でしょうか?いや、『吉田沙保里』か『小林幸子』か?

 

(余談ですが、韓流グループ『KARA』の、あのNaNaNa〜♪のフレーズに『黒柳徹子』挟んでみたらウケると思う〜完全パクリになるけど(笑))。

『ルイ・アームストロングと共演しても、一切の影響を受けなかった唯一の歌手』

さて、ここからが本題ですが、なぜこの回で唐突にバーブラ・ストライサンドを取り上げたか、といいますと『バーブラ・ストライサンドはジャズシンガーではない』と申し上げておきたいからです。

 

理由は上記の見出しの通りです。これは、ルイ・アームストロングの人生を振り返るドキュメンタリーにインタビュイーとして出演していたある黒人ジャズミュージシャンの一言でした。ちょっと笑いも交えて「あれだけちゃんと共演しときながらジャズが身に付かなかったなんてな〜ある意味自分持っててすごいよ」というニュアンスでした。

 

補足すると、バーブラの歌にはミュージシャンの耳からしても、ジャズフィーリングが見うけられない、ということです。やはりミュージカル唱法で、女優が歌う要素が強いのですね。実際、彼女の歌い方はジャズのリズムにのることは難しいと思います。

 

実際、フランク・シナトラ、ビング・クロスビー、ビリー・ホリデイ、エラ・フィッツジェラルド、ペギー・リー、ローズマリー・クルーニー、アニタ・オデイなど、一流歌手の多くは、ルイと共演することでこぞってそのジャズフィーリングを身に着けたことは、YouTube動画を観ていても、アルバムを聴いていても一目瞭然です。しかし、バーブラは映画『ハロー・ドーリー』でルイと共演したにもかかわらず、何も起きなかったのです。

 

アメリカのポピュラー音楽界には、ポップス歌手と、ジャズ歌手が混在しています。

 

しかし、例えば当時のポップス歌手(Traditional pop music singer)のジョー・スタッフォードが『ジョー+ジャズ』という、わざわざそんなタイトルを付けたように、ポップス歌手として知れ渡った人が、ジャズミュージシャンを起用してジャズアルバムを出すこともあり、歌手を一元的にカテゴリー分けするのはとても困難です。

 

しかし日本では、スタンダードナンバー歌ってればそれってジャズでしょ?じゃ歌う人も当然ジャズシンガーと言っていいんだよね?といった具合に、ジャンルのカテゴリー分けが甘い状況が戦後からずっと続いています。しかし学習者にとって、お勉強中の混乱を少しでも避けるため、定義を明確にして歌手を選んで聴くのはとても大切なことだと思うのです。

 

ですから、ジャズボーカルを勉強している人は、彼女がスタンダードナンバーを歌っていても、ジャズボーカルとして聴くのではなく、もっと広い意味でのアメリカのエンターテイメントの世界の超一流歌手であるバーブラ・ストライサンドの歌を聴く、というスタンスをお勧めします。

バーブラ・ストライサンドはどこから来たか?

若かりし頃のバーブラに影響を与えた歌手達…。

 

今まで様々な映像を観たり音源を聴いてきましたが、ジュディ・ガーランドエセル・マーマン、そして彼女自身が映画『ファニー・ガール』で演じたファニー・ブライス…どうやらこのあたりでしょうか?

 

いずれも、偉大なミュージカルのスター、超一流のエンターテイナーで、先輩の彼女達の中からバーブラの標榜したスタイルを見つけることができます。

 

どうですか?既に出所からしてジャズとちょっと違う気がしてきませんか?





【結論】バーブラ=時代が変わっても『ワタシ流』を変えない人!

バーブラの出演している映画やコンサート映像などを見ていると驚くことがあります。

 

60年代のデビュー当時から今日に至るまで、自身のトレードマークとしているものを一切変えていないのです!

 

例えば分かり易いところで、デビュー当初からのパツンと切り揃えた長めのボブスタイル、ご自慢の手指の美しさを強調する長めのネイル、70年代はちょっと迷走気味でしたが、80年代あたりからのスリットの入った白か黒のロングタイトスカート(衣裳デザインは『親友』で同じユダヤ系のダナ・キャラン)…などなど、その時代に即したものにするなどの微調整は見受けられますが、いつの時代も芯に全くブレがないのです(同次元で例えるのもどうか、と思いますが黒柳徹子の玉ねぎヘア、と同じかなと思います)。

 

そして本人もたまにジョークにしていますが、鼻も整形しなかった!(ユダヤ鼻、これもバーブラのトレードマークの一つです。とりわけユダヤ人コミュニティにとっては『愛すべき』象徴のひとつなのです)

 

外見ですらこれですから、歌声や内面に関しては言わずもがな、ですね。

表現したいものが一貫している、と言って良いのかもしれません。

 

そういうわけで、バーブラは、常にバーブラでいつづけた(ている)のです。それは彼女の揺るぎない個性となり、彼女のように歌う(歌いたいと思う)フォロワー歌手をたくさん生み出しました。

 

そこで結論。

バーブラ・ストライサンドは、アメリカのエンターテイメントの世界の頂点に君臨するリヴィングレジェンドであることに間違いはないのですが、ジャズシンガーとして聴くことはお勧めいたしません。

 

(私はというと、毎回彼女の歌を聴くたびにトリハダものですが、一般には独特の粘り気と、ユダヤ人的個性(?)が強すぎて、ここがイマイチ日本のマーケットで受け入れられなかった理由のひとつだと思っています。私はそこが好きなんですけど(笑))

 

最後に、粘っこさが無性になつかしくなった時にワタシがいつも聴いている(笑)若きバーブラの歌声をご紹介します。

 

今日のワンポイント:

 

『ポップス歌手とジャズ歌手の違いは出所の違いで分かる』